アタヤル語群における「言う」の再建

書誌事項

タイトル別名
  • A reconstruction of “say” in Atayalic languages

抄録

Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine

会議名: Evidence-based Linguistics Workshop 2022, 開催地: 国立国語研究所, 会期: 2022/09/05-06, 主催: 国立国語研究所、神戸大学人文学研究科

アタヤル語(オーストロネシア語族アタヤル語群)において「要求する」を表す語məsinaについて、その起源をセデック語(アタヤル語群)との比較から考察し、アタヤル語群祖語を*əsaと再建し、本来は「言う・要求する」を表す語であったことを主張する。アタヤル語のməsinaは2通りの形態分析ができ、m-əsinaまたはmə-sinaであるが、いずれも語根と推定される**əsinaまたは**sinaは、セデック語の同源語が見つからない。一方セデック祖語に再建される「言う」は*əsaであり、同時に「要求する」という意味でもある。アタヤル語の特徴として最終音節のオンセット直後に挿入される特殊な接尾辞(化石中央接尾辞と呼ばれる)があり、形式は<in>である。アタヤル語では祖形*əsaに<in>が挿入され、əs<in>aが派生され、さらに「要求する」の意味のみに特化したのではないか。だとすればアタヤル語の「言う」を表す形式kayalの由来が問題になる。これはアタヤル語のkai「言葉」(アタヤル語群祖語*kari)に化石接尾辞-alが付加して、kai-alからkayalとなったのだろう。アタヤル語群祖語*əsaにはブヌン語asa「好む、必要とする、望む」やサイシヤット語oSa’「言う」などの同源形式もあり、これらからオーストロネシア祖語は*əSaと再建されうる。

source:https://masayu-a.github.io/ELW/ELW2022/

identifier:帯広畜産大学

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