ヤスデ由来のヒドロキシニトリルリアーゼの発見と構造に関する研究

  • 浅野 泰久
    富山県立大学工学部,生物・医薬品工学研究センターおよび生物工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Discovery and structure of hydroxynitrile lyase and related enzymes in the Aldoxime-nitrile pathway of millipedes
  • ヤスデ ユライ ノ ヒドロキシニトリルリアーゼ ノ ハッケン ト コウゾウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

近年,ヒドロキシニトリルリアーゼ(HNL)の新しい分布,特性,構造などについての報告が急増している.主に植物に分布するHNLは,草食動物や微生物に対する防御機構の一つとして使われ,シアノヒドリンを基質としてシアン化水素(HCN)と対応するアルデヒドまたはケトンに分解する.一方,逆反応によって,プロキラルなアルデヒドに立体選択的にシアン化水素を付加し,重要なキラル中間体である光学活性なシアノヒドリンを不斉合成することが可能である.我々は,節足動物ヤンバルトサカヤスデに従来知られていたHNLと比較して5~230倍もの高い比活性を持つHNLを発見し,さらにX線結晶構造解析を行い,輸送タンパク質であるリポカリンファミリーに属する新しいHNLであることを明らかにした.同様に,キシャヤスデからのHNLについても,酵素の構造に基づいた合理的改変を行い,医薬品原料である光学活性なシアノヒドリンの不斉合成に適用した結果についても紹介する.

収録刊行物

  • 生化学

    生化学 94 (5), 681-689, 2022-10-25

    公益社団法人日本生化学会

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