術前経口飲水量が鏡視下腱板修復術中の循環動態に及ぼす影響

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抄録

ビーチチェア位時は一過性に血圧が低下し,脳虚血に陥る危険性がある.今回,術前経口飲水量がARCR中の循環動態に及ぼす影響について前向きに検討した.平均年齢63.7歳(43∼81歳)の91例を対象に,自己記入式調査で飲水量を調査し,術中は観血的動脈圧にて血圧を測定した.術当日の飲水量500mlを基準として比較すると,飲水量の違いにより術中血圧の変化に有意差がみられた(反復測定分散分析p = .0420).また,ビーチチェア位前後の血圧の変化について,禁飲水時間を絶飲2時間群と2時間以上の絶飲2時間超群に分け比較したところ,絶飲2時間超群に20mmHg以上の血圧低下割合が有意に多く(p = .0199),術前絶飲時間は,血圧低下群と血圧維持群の2群に差がみられた(p = .0005).以上の結果より,ARCR術中の循環動態の安定のために手術当日の目標経口飲水量として500mlの摂取を促すことが有用であり,禁飲水時間が2時間を超える症例では体位変換による血圧低下が生じやすく注意が必要であると考えられた.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 46 (2), 440-445, 2022

    日本肩関節学会

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