長崎県で発生したフグおよびキンシバイの食中毒事例における食品残品,患者血清および尿中テトロドトキシン含量と症状との関係

書誌事項

タイトル別名
  • Tetrodotoxin Intoxications in Nagasaki, Japan: Symptoms of Patients, Tetrodotoxin Levels in Leftover Food and Clinical Urine and Serum Samples
  • ナガサキケン デ ハッセイ シタ フグ オヨビ キンシバイ ノ ショクチュウドク ジレイ ニ オケル ショクヒン ザンピン,カンジャ ケッセイ オヨビ ニョウチュウ テトロドトキシン ガンリョウ ト ショウジョウ ト ノ カンケイ

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抄録

<p>テトロドトキシン(TTX)に起因する食中毒は,全国的に毎年発生している.本研究では,2011年から2017年に長崎県で発生したTTXに起因した食中毒8事例について,食品残品,患者血清および尿中のTTX濃度の定量結果をまとめ,試料中のTTX濃度と症状との関係を整理し,比較検討した.その結果,食品残品においては,4事例7試料で,有毒(弱毒:4試料,強毒:2試料,猛毒:1試料)と位置付けられた.患者尿中TTX量では,既報において,3事例とも重症度分類3~4相当のTTX量であったが,実データでは,重症度分類にばらつきがあった.血清中濃度では,喫食後約12~24時間に最高血中濃度到達時間(Tmax)があり,24時間以内に血清中TTX濃度が19.5 ng/mL以上に上昇することが,呼吸に異常を起こす重症度分類3以上になる一つの目安と推察された.また,1~3 ng/mL付近が症状の発現や快方・消失の目安になる濃度と推察された.一方,TTX排泄においては,重症の2名の結果であるが,血清中TTX濃度の対数と摂取後の時間には,負の相関が認められ,これにより,血清中TTXが対数関数的に減少することが示された.また,血清中TTX濃度の半減期(T1/2)は,17.5時間および23.7時間だった.</p><p>本調査で得られた結果は,TTX類に関する食品衛生学的知見をさらに深め, TTX類のリスクアセスメントの一助になると思われる.</p>

収録刊行物

  • 食品衛生学雑誌

    食品衛生学雑誌 63 (5), 182-189, 2022-10-25

    公益社団法人 日本食品衛生学会

参考文献 (20)*注記

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