火の鳥「はやぶさ」未来編 その26 ~リュウグウ帰還試料のキュレーション~

書誌事項

タイトル別名
  • Phoenix “Hayabusa”: A tale of the future (26) ‒ Curatorial works on returned Ryugu samples ‒
  • ヒ ノ トリ 「 ワ ヤブサ 」 ミライヘン(ソノ 26)リュウグウ キカン シリョウ ノ キュレーション

この論文をさがす

抄録

<p>2020年12月6日に小惑星探査機「はやぶさ2」はC型小惑星リュウグウ表層物質を収めた再突入カ プセルを地球に帰還させた.回収された再突入カプセルに収められた試料コンテナは,オーストラリア現地でのガス採取を実施した後,JAXA相模原キャンパスの惑星物質試料受入設備に搬入され,チェンバー導入前の部品取り外し・洗浄等のプロセスを経てクリーンチェンバー内で真空中での開封・高純度窒素環境下での帰還試料の取り出し・初期記載が行われた.これらのリュウグウ帰還試料の初期記載の結果,これまでに回収されたどの隕石よりも反射率が低く,全体密度が小さい事が判明した.また,赤外反射スペクトルの吸収特性から水酸基を含む含水鉱物と炭酸塩鉱物,及びCH結合に富む有機物が試料中に含まれることが明らかになった.これらの情報を既知の隕石と比較すると,CIコンドライト隕石に最も似ていると言える.また探査機搭載機器によって得られた可視・近赤外スペクトルと比較した結果,帰還試料はリュウグウ表層全体を代表している事が分かった.取り出された試料の一部は既に初期分析チーム,2次キュレーションチーム,NASAへ配分され,更に国際公募研究による配布が予定されている.本稿では一連の試料取り扱いプロセス・初期記載内容について述べる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ