C1高位圧迫性脊髄・神経症に対して固定術を併用しない環椎後弓切除を施行した9例

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抄録

<p>【はじめに】環椎レベルでの脊髄・神経根圧迫性病変に対する治療法について除圧術に固定術を併用するかどうかを検討することは重要である.2012年から2020年の間に当科において固定術を併用しない環椎後弓切除を施行した9例(男性8例,女性1例),手術時年齢72.2歳(63~84歳),追跡期間29.6ヵ月(9から72カ月)を対象に術後環軸関節不安定性の推移について検討した.【方法と対象】症例は非RA性環軸関節亜脱臼4例,歯突起後方偽腫瘍3例,環椎部狭窄2例.術前と調査時の頚椎単純X線側面機能写で環椎歯突起間距離(ADI)を測定し,最大ADI≧4mmを環軸関節亜脱臼(AAS)(+)とした.また,最大ADIと最小ADIの差(ΔADI)が2mm以上の症例を異常可動性(+)とした.調査時の最大ADI,ΔADIが術前に比べてそれぞれ2mm以上拡大した例をADI悪化例,ΔADI悪化例とした.【結果】最大ADIは術前平均3.37mmから調査時3.88mmと変化はなく(p=0.18),ΔADIも術前0.94mmと調査時1.18mmで差はなかった(P=0.64).全9例中ADI悪化,ΔADI悪化をそれぞれ1例に認め,同一症例であった.8例は調査時もADIおよびΔADIが悪化しなかった.術前にAAS(+)であった4例は今回調査時にADI悪化およびΔADI悪化はなかった.C1/2可動角も術前平均8.8°(P=0.56),術後9.8°(P=0.31)といずれも有意な差はみとめなかった.【まとめ】固定術を併用しない環椎後弓切除術を9例行い,術後8例(88.8%)は環軸関節の安定性が維持された.</p>

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