エゾヤママンテマ(ナデシコ科)を北海道層雲峡で再発見する

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  • Rediscovery of <i>Silene harae</i> (<i>Caryophyllaceae</i>) from Hokkaido, Japan
  • Rediscovery of Silene harae (Caryophyllaceae) from Hokkaido, Japan

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抄録

<p>エゾヤママンテマ Silene harae Nakaiは,1931年に層雲峡で採集された標本に基づいて記載されたナデシコ科の多年草である(Nakai 1932a).しかし,タイプ標本が採集されて以降,新たな標本が採集されなかったこと,1960年代に外来種である可能性が指摘されたことなどから,近年の主要な文献には登場しない.筆者らは,2020年にタイプ産地とほぼ同じ場所でエゾヤママンテマを再発見した.エゾヤママンテマが生育していた場所は,人里離れた急峻な崖と狭い谷間にあり人的攪乱を受けておらず,周囲に外来種は見られなかった.したがって,エゾヤママンテマは帰化種ではなく在来種と考えられる.エゾヤママンテマは今のところ層雲峡のみに分布するが,壷型の萼筒をもつこと,ロゼット状の葉を付ける栄養シュートと繁殖シュートの二型性が見られること,古い葉柄の基部が鱗片状とならないことなどの形態的特徴 はトカチビランジ S. tokachiensis Kadota と類似して り,今後さらに分類学的検討が必要と考える.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 97 (4), 232-235, 2022-08-20

    植物研究雑誌編集委員会

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