内耳道に気腫を認めた外傷性外リンパ瘻の1例

  • 鹿毛 千聡
    川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学
  • 濵本 真一
    川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学
  • 福島 久毅
    川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学 ふくしまクリニック
  • 原 浩貴
    川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Traumatic perilymphatic fistula with pneumocephalus in the internal auditory meatus: a case report
  • ナイジドウ ニ キシュ オ ミトメタ ガイショウセイ ガイ リンパロウ ノ 1レイ

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抄録

<p>外リンパ瘻は,頭部外傷や中耳外傷といった直達外力や圧外傷などの介達外力によっても生じる.今回,迷路内だけでなく内耳道にも気腫を認めた外傷性外リンパ瘻例を経験した.野球の練習中に左側頭部へ直飛球が直撃した.直後から回転性めまい,左難聴が出現した.CTで迷路気腫だけでなく,内耳道および錐体尖部に気脳症を認めたため左外傷性外リンパ瘻を疑った.側頭骨や迷路骨包に骨折は認めず,中耳・内耳奇形も認めなかった.同日,緊急手術を施行した.キヌタ-アブミ関節は脱臼し,アブミ骨底板は全周性に陥入していた.卵円窓から持続的な液噴出を認めた.アブミ骨を整復し,底板周囲を筋膜片で覆い,噴出液の停止を試みたが,噴出圧が強く閉鎖は困難であった.そのため,アブミ骨を一旦摘出し,卵円窓を側頭筋膜片で覆い,その上をアブミ骨で圧迫するように耳小骨連鎖を整復した.一連の操作は内視鏡下に施行した.術後,聴力の改善は得られなかった.内耳道気腫の成因として,側頭部打撲の衝撃によりアブミ骨底板がfloating状態となり,内耳道底の微細な間隙から空気が侵入した可能性を考えた.</p>

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