ストレイン超音波エラストグラフィを用いた棘上筋腱における外転運動および筋収縮による生体内剛性評価

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抄録

<p>肩関節の棘上筋(Supraspinatus muscle)は回旋筋腱板(Rotator cuff)の4つの筋肉の内の1つである.三角筋と共に肩の外転運動の際に作用し,肩甲上腕関節の下方の固定性と上腕骨の転がりと滑りを制動する役割を担い,棘上筋腱(Supraspinatus tendon ; SSPT)は,棘上筋と上腕骨大結節をつなぐ組織である.また,SSPTは肩腱板損傷の中で最も頻度が高い症例の腱である.したがって,SSPTの力学的特性を調べることは,損傷腱を診断することに加えて,腱板修復の予後の評価においても重要である.本研究では,ストレイン超音波エラストグラフィ(Strain ultrasound elastography; SE)を用いて,生体内におけるSSPTの剛性を評価することを目的とした.対象は健常な成人男性10名とした.測定肢位は仰臥位とし,肩外転角度0°, 45°, 90°について,棘上筋腱を棘上筋腱全体(Whole),付着部から大結節まで(Attached site),大結節から中間位(Middle site)の3つの領域に分割し,筋収縮なし(No contraction ; NC)と筋収縮あり(Isometric contraction ; IC)の条件下で測定を行った.SEにより腱の剛性を測定するために,参照物質として樹脂製の音響カプラを用い,腱とカプラとの相対的な変形の比をStrain ratio(SR)を用いた.SSPTの各部位の剛性は,肩外転角度が増加するにつれて低下した.各肩外転角度において部位ごとに比較すると, Attached siteは,Whole, Middle siteと比べ常に剛性は高い.また,WholeとMiddle siteの剛性は,筋収縮の有無により有意な差を示し,ICの場合に高くなった.本結果から,SSPTは部位により異なる剛性を有することを示した.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual60 (Abstract), 160_2-160_2, 2022

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390294276475899264
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual60.160_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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