自家培養表皮移植における一次ドレッシングとして塩化ジアルキルカルバモイル創傷被覆材を使用した1例

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タイトル別名
  • Using of DACC-coated Dressing as Primary Dressing of Cultured Epithelial Autografts: A Case Report

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抄録

 【目的】広範囲熱傷症例において自家培養表皮 (ジェイス®, J-TEC) 移植が広く行われているが, 感染や機械的刺激に対してきわめて脆弱であるため, 生着には適切な一次ドレッシングの使用が重要である. 今回われわれは, 自家培養表皮移植における一次ドレッシングとして塩化ジアルキルカルバモイル (dialkylcarbamoyl chloride, 以下DACC) 創傷被覆材 (Sorbact®コンプレス, Century Medical, Inc.) を用い, 良好な結果を得たので報告する.<br>  【症例】75歳, 男性. 背部, 頭部, 顔面, 四肢にDDBからDB約36%TBSAを受傷した. 受傷31日目に背部・四肢にデブリードマンと自家培養表皮移植を行った.<br> 【方法】デブリードマンを行った創面に8/1,000インチ厚の自家3倍メッシュ植皮と自家培養表皮移植を行った. 背部はその上にDACC創傷被覆材を貼付し被覆した.<br>  【結果】術後3日目と5日目に上層ガーゼのみ交換を行った. 固定が外れた両肩以外の部位は固定のずれや感染なく経過した. 術後7日目にDACC創傷被覆材を除去したが, 自家培養表皮と自家分層植皮片の生着は良好であった.<br> 【考察】DACC創傷被覆材はセルロースアセテートでできており, 微生物と結合,不活性化するため, バイオバーデンの低減が期待できる. 最大7日間は微生物の除去が可能であるため, 自家培養表皮移植部の感染予防と生着に有利に働く可能性があり, 今後の症例の集積と検討が必要である.

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 48 (5), 178-183, 2022-12-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

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