150年連続ランによる琵琶湖水位の将来予測
書誌事項
- タイトル別名
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- Future projection of Lake Biwa surface level based on the 150 years seamless run
抄録
<p>気候変動の影響は水資源分野でも懸念されている.例えば,日本国政府がまとめた気候変動適応計画では,降雨の時空間分布が変化し無降水・少雨が続き渇水が予測されることなどを,重大性・緊急性・確信度の全てが高い問題として扱っている.そして,同計画では水資源分野の気候変動適応策の基本方針として,渇水リスクの評価と渇水時の対策等を定めた渇水対応タイムラインの作成を挙げている.</p><p> 淀川水系は1960年代から積極的に琵琶湖およびダムによる水資源開発が行われており,琵琶湖は瀬田川洗堰を操作することで巨大なダムとして利水補給が可能である.この開発の結果,現在では近畿地方の1450万人が琵琶湖の水を利用している.そのため,琵琶湖の水位(Biwako Surface Level,以降BSL)は淀川水系の渇水状況を表す指標の1つとして活用されている.</p><p> そこで,本研究は将来気候下における淀川水系の渇水リスクを評価することを目的とし,まずBSLを解析できる陸域水循環モデルを構築して,その後に将来気候の予測データであるMRI-AGCM3.2Sの150年連続ランの気象条件下におけるBSLを解析し,淀川流域の将来の渇水状況を評価した.</p><p> その結果,BSLが取水制限の目安ラインを下回る頻度が増えるのは21世紀後半からで,その頻度は21世紀初頭が30年間のうち3年なのに対し,21世紀末では14年に増加することが明らかになった.</p><p> 150年連続ランが予測する将来気候の淀川流域では,年降水量の減少は見られないが,蒸発散量が増加することと,少雨傾向の期間が長期に渡り続くことが,将来気候下のBSLを低下させる原因となっている.</p>
収録刊行物
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- 水文・水資源学会研究発表会要旨集
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水文・水資源学会研究発表会要旨集 35 (0), 107-, 2022
水文・水資源学会