首都直下地震発生時における不足水量の地理的分布予測

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タイトル別名
  • Distribution of water scarcity prediction after large earthquake event in Tokyo metropolitan area

抄録

<p>首都圏で将来発生しうる大規模地震を想定した場合,地震に伴う断水により,人口の多さから深刻な生活用水不足の発生が懸念される.また地震により発生する火災消火のための水は,生活用水の逼迫よりも,更に早い段階で必要とされる.これら不足水量の分布を予測することは,災害時の水供給計画に非常に重要であることから,発災後の生活用水および消火用水の不足量とその地理的分布状況を東京都の江東区を対象に検討した.消火用水不足量は,防災水利情報から得た「供給可能水量」と地域別火災発生予想件数などから得た「消火に必要な水量」との差分より求めている.生活用水不足量は,発災直後の断水発生率とその時間経過に伴う回復を踏まえた「発災後の日別断水率」に「地域人口」と既往の発災事例を踏まえた「日別の1人当り生活用水必要水量」を掛けわせて求める.得られた結果のうち,消火用水不足量は,木造住宅の密集地区があり地震発生時に多くの火災発生が予測される,荒川沿いの東砂地区およびその周辺の北砂地区が目立った.同様の理由で火災発生が危惧される江東区西部の木場地区では,近傍河川からの取水などで賄えることにより目立った消火用水不足は見受けられない.一方生活用水は,広範囲で水不足状況になることが予想され,4週間後には一部で250m区画当り1日1000 t以上の水不足が見られる箇所も存在した.消火用水不足の発生範囲は生活用水のそれに対し限定的なため,防火水槽からの生活用水への転用により,不足水量を抑えることが出来る可能性がある.更に水需要について,避難所や病院などの施設での水需要を考慮できると,より詳細に水不足分布を作成出来ると考えられる.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390294496035689216
  • DOI
    10.11520/jshwr.35.0_287
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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