下唇へ進展した下顎歯肉癌を長掌筋腱付き前腕皮弁で再建した1例

書誌事項

タイトル別名
  • Forearm tendinocutaneous flap reconstruction in a patient with carcinoma of the mandibular gingiva extending deeply to the lower lip

この論文をさがす

抄録

下唇へ大きく進展した下顎歯肉癌に対し,赤唇を温存した腫瘍切除と,長掌筋腱付き前腕皮弁再建術を行うことで良好な機能と形態を維持できた症例を経験した。症例は84歳,女性。右下顎前歯部を中心に下唇へ進展する34×22mmの腫瘤を認めた。生検の結果,扁平上皮癌の病理診断であった。切除は両側肩甲舌骨筋上頸部郭清術,赤唇を温存した下唇の全層切除および下顎骨辺縁切除を行った。口腔内と白唇の欠損は前腕皮弁を折り返して再建し,断裂した口輪筋に対しては長掌筋腱を用いて橋渡し腱移植を行った。皮弁の折り返し部は脱上皮して温存した赤唇と縫合した。術後,口裂の閉鎖不全や流涎はなく,審美的にも良好である。本法は口唇を含む比較的広範な欠損を再建できる。また,赤唇を温存することで口唇の随意的な収縮と感覚を維持することが可能である。口唇へ進展した口腔癌において赤唇の温存が可能な際には考慮すべき術式である。

収録刊行物

参考文献 (19)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ