伊豆沼・内沼周辺の池における絶滅危惧種のオオセスジイトトンボ<i>Paracercion plagiosum</i>(トンボ目:イトトンボ科)の季節消長,繁殖期および生息環境

  • 上田 紘司
    公益財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
  • 藤本 泰文
    公益財団法人宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団

書誌事項

タイトル別名
  • Seasonal occurrences, reproductive seasons, and habitat environments of an endangered damselfly <i>Paracercion plagiosum</i> (Odonata: Coenagrionidae) in ponds neighboring Lake Izunuma–Uchinuma, Japan

この論文をさがす

説明

<p>宮城県北部の伊豆沼・内沼の周辺に位置する2つの池において,絶滅危惧種に指定されているオオセスジイトトンボParacercion plagiosum(トンボ目:イトトンボ科)の季節消長,繁殖期および生息環境を調査した.オオセスジイトトンボは,両池において6月上旬から8月中旬まで確認され,個体数のピークは6月下旬であった.繁殖行動(タンデム連結・交尾器の結合・産卵)は6月下旬から8月上旬にかけて両池で確認された.2つの池の水生植物の構成種は異なり,両池とも水際にはヨシPhragmites australisやミクリ属の1種Sparganium sp.など数種の抽水植物,水面には浮葉植物のヒシ類Trapa spp.が確認された.しかし,浮遊植物のイヌタヌキモUtricularia australisは一方の池でのみ確認された.本種の産卵は,ヒシ類が優占する池ではすべてヒシ類で行われたが,ヒシ類とイヌタヌキモが混生する池では,産卵行動の70%がイヌタヌキモで行われた.このことから,イヌタヌキモへの産卵はヒシ類と比較して本種の適応度を高める何らかの要素を持つ可能性を示唆した.伊豆沼・内沼では,富栄養化により沼の広い範囲をハスNelumbo nuciferaやヒシ類が優占する水環境となっており,イヌタヌキモが生育するような環境は貴重となっている.この個体群を保全していくには調査池の環境管理や伊豆沼・内沼で実施されている湖岸植生帯の復元活動が重要となるだろう.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390294562484869632
  • DOI
    10.20848/kontyu.25.4_153
  • ISSN
    24320269
    13438794
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ