細胞がストレスを感じる仕組みと疾患〜分子クラウディングとLLPSによる浸透圧センシング〜

  • 一條 秀憲
    東京大学・大学院薬学系研究科・細胞情報学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Sensing Mechanisms of Cellular Stress and Related Disease- Osmotic Stress Sensing by Molecular Crowding and LLPS

抄録

<p>ストレス応答は細胞が持つ最も基本的な生命現象のひとつであり、その破綻は、がん、神経変性疾患、免疫疾患、代謝性疾患などをはじめとする多様な疾患の発症要因となります。本講演では、主に細胞のストレス応答、特に浸透圧応答に関する私たちの最新の知見を中心にご紹介します。</p><p>細胞は、内外の浸透圧差によって強制的に体積を変化させられるストレス(=浸透圧ストレス)に常に曝されており、浸透圧変化を感知して適切に応答することで細胞体積を一定に保っています。これまでは、細胞外環境と接する細胞膜上の変化などを介して物理的実体のない浸透圧変化を感知するという考え方に基づいた研究が主流でした。私たちは、ASK3 というタンパク質を研究モデルに生化学的手法と計算機シミュレーションを用いて、細胞が液・液相分離という物理現象を引き金として浸透圧ストレスを細胞内部で感知していることを明らかにしました。</p><p>このような浸透圧ストレス応答の基礎研究を通じて、ストレスシグナル研究の一端をご紹介できればと思います。 </p>

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