放射性医薬品治験における特別措置病室を設置した実施体制の構築

DOI
  • 松山 倫子
    京都大学医学部附属病院先端医療研究開発機構臨床研究支援部
  • 老本 名津子
    京都大学医学部附属病院先端医療研究開発機構臨床研究支援部
  • 志水 陽一
    京都大学医学部附属病院放射線部
  • 井上 実
    京都大学医学部附属病院放射線治療科
  • 三宅 可奈江
    京都大学大学院医学研究科高度医用画像学講座
  • 竹下 麻美
    京都大学医学部附属病院看護部
  • 深堀 理
    京都大学医学部附属病院早期医療開発科
  • 栃木 かほる
    京都大学医学部附属病院先端医療研究開発機構臨床研究支援部
  • 中島 貴子
    京都大学医学部附属病院早期医療開発科
  • 溝脇 尚志
    京都大学医学部附属病院放射線治療科
  • 中本 裕士
    京都大学医学部附属病院放射線診断科
  • 永井 洋士
    京都大学医学部附属病院先端医療研究開発機構臨床研究支援部

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抄録

<p>【目的】</p><p>放射性医薬品による治療を受ける患者の入院については、他の患者や放射線診療従事者等の放射線防護の観点から、「放射線治療病室」または「適切な防護措置及び汚染防止措置を講じた一般病室等(以下、特別措置病室)」へ入院することが医療法施行規則で規定されている。放射性医薬品による治療が年々増加し放射線治療病室が不足する中、臨床試験専用病棟に特別措置病室を設置することで新規放射性医薬品の治験を受託すべく、実施体制整備に取り組んだので報告する。</p><p>【方法】</p><p>臨床研究支援部臨床研究コーディネーターユニットでは、CRC経験のある薬剤師が新規治験の受付窓口を担い、打診段階で院内実施体制上の課題を抽出する。また、院内関連部署(検査部、放射線部、病理部、遺伝子診療部)とは、各部署に設置している窓口担当者を通して速やかな連携が可能な体制である。しかし、特別措置病室を設置して実施する治験の経験はなく、通常と異なる検討が必要であった。新規放射性医薬品治験の打診からIRBまでの検討内容を精査した。</p><p>【結果・考察】</p><p>一般的な企業治験の場合、打診からIRBまでの間に治験依頼者とのweb会議は多くても3回程度であり、院内関連部署への確認も各窓口担当者へのメールで完了する。当該治験においては、打診からIRBまでの間に治験依頼者とのweb会議を17回、院内関係者のみでの検討会を11回実施した。その内容は多岐に渡るが、特に、放射性医薬品の法令を遵守した特別措置病室の設置・運用の検討、他の受託治験への影響を考慮した特別措置病室の設置数の検討、予定症例数での病室使用期間のシミュレーション等は、苦慮した事項であった。また、治験依頼者の準備状況、医療法施行規則の改正、適正使用マニュアルの学会承認に加え、新型コロナウイルス感染状況による院内病床配置による影響もあったが、関連部署と何度も検討を重ねることで実施体制を構築した。</p><p>【結論】</p><p>特別措置病室を設置する放射性医薬品治験では、治験依頼者からの情報に加え、厚生労働省等から通知される内容に応じた検討と、病床稼働などの変動要因を考慮したスケジューリングが必要である。これらを、CRC部門が中心となり、関連部門と協働して課題の洗い出しと検討を行うことで、実施体制を構築でき、体制強化に繋がる可能性がある。今後、当該治験の実施経験を蓄積し、よりスムーズな実施体制に向けて改善していきたい。</p>

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