ラノコナゾールクリームを反復塗布した際のヒト角層内薬物の推移の検討
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- 今井 浩光
- 大分大学医学部医療倫理学 大分大学医学部附属病院臨床薬理センター
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- 橋本 悟
- 大分大学医学部臨床薬理学講座
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- 二宮 遼
- 大分大学医学部解剖学講座
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- Luo Jingna
- 大分大学医学部附属病院臨床薬理センター Translational Medicine Center, The Second Hospital of Hebei Medical University
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- 和久田 浩一
- 大分大学医学部附属病院臨床薬理センター
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- 大谷 直由
- 大分大学医学部臨床薬理学講座
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- 井上 玄太
- マルホ株式会社京都R&Dセンター医薬開発研究所
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- 尼岸 宏章
- マルホ株式会社京都R&Dセンター医薬開発研究所
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- 上村 尚人
- 大分大学医学部附属病院臨床薬理センター 大分大学医学部臨床薬理学講座
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抄録
<p>【目的】外用薬を塗布した後の皮膚局所での薬物の動きは未だ十分に明らかにされておらず、特に反復塗布した際の動態についてはほとんど報告がない。我々は、モデル薬物としてラノコナゾールのクリーム製剤(アスタットTMクリーム1%)を用いて、ヒトに反復塗布した際の角層内の薬物動態を評価することを目的として本研究を行った。【方法】健康成人被験者(6名)を対象として二つの臨床試験(試験1及び2)を行った。被験者の背部皮膚に予め塗布部位を設定し、試験1では間欠的(12時間)塗布を、試験2では終日(23時間)塗布を、それぞれ5日間継続した。両試験とも、薬剤塗布期間中に1日2回(トラフ及び12時間後)、標準化されたテープストリップ法により角層サンプルを採取し、角層中のラノコナゾール量をLC/MS/MS法により定量した。試験2では、塗布終了後の角層からの薬物消失過程を評価するため、終了後2, 4, 6, 及び12時間後まで、サンプルを採取した。得られたデータより、角層内の薬物動態を評価した。【結果・考察】角層内ラノコナゾール量について、試験1ではトラフ値及び12時間値ともに漸増し、day4には既に定常状態に達していることが示唆された。試験2では、day2からday3にかけて12時間値及びトラフ値の上昇を認め、その後はほぼ横這いの推移を示した。角層からの薬物消失が一次速度過程に従うと仮定して、試験2の角層内ラノコナゾール量の推移を評価した結果、塗布開始3日目でほぼ定常状態に達すると予想された。塗布中止後は半減期がおよそ11時間で角層内からラノコナゾールが消失することが示唆された。両試験ともに、薬物動態には被験者間の変動が大きく、またn=6と少数例での検討であることは本研究の限界の一つであるが、得られた結果はラノコナゾールの角層内薬物動態を合理的に推定するものと考えられた。【結論】ラノコナゾールクリーム剤のヒトへの反復塗布について、間欠的及び終日塗布においても概ね3日間で角層内濃度は定常状態に至り、塗布終了後は半減期およそ11時間で角層から消失すると考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本臨床薬理学会学術総会抄録集
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日本臨床薬理学会学術総会抄録集 43 (0), 4-C-O13-5-, 2022
一般社団法人 日本臨床薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390294562486269440
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- ISSN
- 24365580
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可