新型コロナウイルス感染症の現状と課題
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- 倉井 大輔
- 杏林大学医学部総合医療学(感染症科)
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抄録
<p>2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は,世界的大流行であるパンデミックを引き起こし,その流行は2022年現在も収束していない。この感染症は,感染力と重症度の点から医療体制への負荷が大きく,社会生活に多大な変化をもたらしている。今回のパンデミック発生以降,検査方法・治療薬・ワクチン・感染対策などの関連する分野は急速に進歩し,医療体制も整備された。しかし,ウイルス自体が変異を繰り返しているため,年に数回の定期的な流行を繰り返している。流行のピーク時には,通常医療が保てない状態となっている。2019年に発生した当初のウイルスと比べ,2022年初頭からわが国で流行しているオミクロン株は,陽性者に占める重症患者の割合は低下した。日本で普及したワクチンは重症化予防に効果があるが,感染予防効果が長期間は持続しない。そのため,一定数の患者が常に国内に存在する状況になっている。社会生活の維持のために,隔離期間の短縮など国民生活に影響を与える国が規定するルールの変更が度々行われている。社会を構成しているのは均一な集団でないため,「Withコロナ」に対し,すべての人が納得する解決策はない。基礎疾患を有する高齢者は重症化しやすく,健康な小児・若年成人は重症化しにくい。そのため,それぞれの立場や状況によって感染対策の重要度も異なる。「Withコロナ」のためには,大枠では国民や社会の合意形成と,細部では個人の判断が求められる。</p>
収録刊行物
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- 杏林医学会雑誌
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杏林医学会雑誌 53 (4), 117-119, 2022-12-28
杏林医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390294573737461120
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- ISSN
- 1349886X
- 03685829
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可