対話的構築主義によるジャーナリズムの戦争証言インタビューの再検討

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  • 佐藤 信吾
    慶應義塾大学大学院社会学研究科 日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名
  • Rethinking Journalistic War Testimony from the Perspective of Dialogical Constructionism
  • A Case Study of the NHK War Testimony Archives
  • ―NHK戦争証言アーカイブスを事例として―

抄録

<p>本稿の目的は,従来の戦争証言研究において重視されてこなかった,インタビューの場における「聞き手=ジャーナリスト」という構図を対話的構築主義の視点から再検討することにある.社会的記憶としての戦争の記憶の継承を考察する場合,人々が日々接しているマス・メディアが提供する戦争証言のあり方を議論することが不可欠であり,その戦争証言を取材・編集しているジャーナリストに目を向ける重要性が理解できる.</p> <p>第2節では,ジャーナリストの主体性を問題とする玉木明の無署名報道批判に代表されるジャーナリズム論の客観報道パラダイムへの批判と,対話的構築主義が接合可能なことを示した.インタビューの場におけるジャーナリストと戦争体験者の相互作用によって,戦争証言が〈いま―ここ〉で構築されると考えるならば,インタビューの場を「透明化」し,どのような相互作用によって戦争証言が紡がれたかを示す必要があると考えられる.</p> <p>第3節では,村上忠廣とイ・クヮンホウの証言を事例として,NHK戦争証言アーカイブスに保存されている証言を対話的構築主義の視点から分析した.この分析によって,従来の番組分析では明らかにできなかった語りの重層性やインタビューの場を規定する「言語」の問題,ジャーナリストの主体性や質問の重要性などが明らかになり,ジャーナリストと体験者の間で〈いま―ここ〉で証言が構築される様子を示すことができた.</p>

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