人工市場シミュレーションを用いたダーク・プールによる市場効率化の分析

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タイトル別名
  • Dark pools making markets efficiently investigated by an agent-based model

抄録

<p>株式市場において,注文を公開せずに注文を付き合わせる,ダーク・プールという取引市場が普及してきている.ダーク・プールは市場の安定化につながると言われている一方,ダーク・プールは価格決定を行わない市場であるため,市場全体の価格発見機能が低下し,市場全体の効率性が失われるという批判もある.本研究では1つのリット市場(注文情報が公開されている通常の市場) と1つのダーク・プールが存在する人工市場モデル(マルチ・エージェント・シミュレーション) を用いて,ダーク・プールの普及が市場を非効率にするのかどうかシミュレーションを行い分析した.その結果,ダーク・プールはビット・アスク・バウンスを低減させ市場を効率化することが分かった.さらに,ある程度までのダーク・プールの普及はリット市場へ出される成行注文(マーケット・インパクトがある注文) が減少し,流動性を供給する注文が相対的に多くなることによって,市場を効率化することが分かった.一方で,普及のしすぎはファンダメンタル価格への収斂も妨げ市場は非効率になることも分かった.普及しすぎの水準は,ダーク・プールの取引量が,リット市場の取引量より大きいときである可能性を指摘した.さらに,日本株式市場における実データとの比較を行い,シミュレーション結果と整合的な結果が得られることを示した.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390294740098306432
  • DOI
    10.11517/jsaisigtwo.2015.fin-014_02
  • ISSN
    24365556
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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