絶食時におけるジスチグミン臭化物の服用を契機としたコリン作動性クリーゼの発見に薬剤師がかかわった1例

書誌事項

タイトル別名
  • Pharmacist intervention in the detection of cholinergic crisis in a fasting patient treated with distigmine bromide : A case report

この論文をさがす

説明

<p>絶食時にジスチグミン臭化物を服用したためコリン作動性クリーゼを発症した1例を報告する。症例は89歳,男性。入院1週間前より血便が続いており,血圧低下および意識障害をきたしたため,当院へ緊急搬送された。大腸憩室出血を内視鏡的に止血し,絶食下にてジスチグミン臭化物2.5 mg/dayが再開された。その結果,入院第8病日に意識障害が認められた。薬剤師はジスチグミン臭化物によるコリン作動性クリーゼを疑い,採血結果および身体所見を確認した。その結果,コリンエステラーゼの低値(17 IU/L)および縮瞳(瞳孔径1.5 mm/1.5 mm)が認められたため,主治医にジスチグミン臭化物の中止を提案した。その後は状態が改善し,第20病日退院となった。絶食時のジスチグミン臭化物の服用により,ジスチグミン臭化物の血中濃度が上昇し,コリン作動性クリーゼを発症する可能性があることを念頭に置くべきである。</p>

収録刊行物

  • 中毒研究

    中毒研究 35 (3), 195-198, 2022-09-10

    一般社団法人 日本中毒学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ