オートファジーによる小胞体ストレス誘導性アポトーシスの制御を介した慢性腸炎抑制機構の解明

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<p>【目的】炎症性腸疾患の疾患感受性遺伝子としてオートファジー関連遺伝子が報告されている。近年、オートファジーと小胞体ストレス応答が相互作用を有し、炎症や細胞死を制御していることが示唆されている。今回我々は、炎症性腸疾患マウスモデルを用いて、慢性腸炎での腸管上皮細胞のオートファジーの役割を検討した。</p><p>【方法】Atg5flox/floxマウスとVillin-Creマウスを交配し腸管上皮細胞特異的Atg5欠損マウス(Atg5ΔIEC)を作製した。Atg5flox/floxマウス(control)とAtg5ΔIECマウスにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)慢性腸炎を誘発し、腸炎の重症度を、体重変化、腸管長、組織学的所見を用いて評価した。Real time PCR法を用いて腸管上皮細胞での小胞体ストレス応答経路の発現を検討した。Western blotting法、蛍光免疫染色法を用いて腸管上皮細胞でのIRE1α-JNK経路の発現を検討した。TUNEL染色を用いて腸管上皮細胞のアポトーシスを検討した。</p><p>【結果】DSS投与でAtg5ΔIEC群は、control群と比較して体重の減少率、腸管長の短縮、組織学的スコアが有意に大きかった。Atg5ΔIEC群は、control群と比較してDSS投与後の腸管上皮細胞での小胞体ストレス応答に関わる転写因子であるX-box-binding protein 1 splicing(XBP1s)の発現が亢進し、その上流であるIRE1αおよびJNKのリン酸化が増加した。DSS腸炎誘発によりcontrol群と比較してAtg5ΔIEC群でTUNEL陽性上皮細胞が有意に増加した。</p><p>【結論】腸管上皮細胞のオートファジーは、IRE1α-JNK経路を介した小胞体ストレス誘導性のアポトーシスを抑制することで慢性腸炎に対して保護的な役割を果たしている可能性が示唆された。</p>

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