次世代シーケンサーを用いた流産絨毛・胎児組織染色体異数性の解析

  • 本多 秀峰
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 瀧内 剛
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 辻 沙織
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 後藤 剛
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 伊藤 風太
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 伴田 美佳
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 三宅 達也
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学
  • 木村 正
    大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学講座産科学婦人科学

書誌事項

タイトル別名
  • Chromosomal analysis in products of conception at early pregnancy loss with next-generation sequencers
  • ジセダイ シーケンサー オ モチイタ リュウザンジュウモウ ・ タイジ ソシキ センショクタイ イスウセイ ノ カイセキ

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抄録

<p>昨今,次世代シーケンサー(Next Generation Sequencing;NGS)の登場により微量な検体量でも染色体解析を行うことが可能になった.今回われわれは,流産絨毛組織などの検体に対しG分染法とNGS法を用いた染色体解析を行い,その性能を比較・検討した.また,母体血液から抽出した核酸DNAを用いて母親細胞の混入(maternal cell contamination;MCC)の確認のため,STR(short tandem repeat)分析を行った.対象は臨床的に流産と診断され,流産物を回収できた症例とした.評価項目は,G分染法とNGS法の染色体異数性検査結果の一致率,検査を実施・解析できた割合の比較,母体組織の混入によるMCC発生率を評価した.今回,G分染法とNGS法と比較した症例は全10症例であり,そのうち4症例でSTR分析を実施した.NGS法では全症例で染色体解析に成功した.G分染法では培養不成功のため,検査を実施できなかった症例が2症例であった.G分染法およびNGS法の両方で解析し得た8症例のうち,染色体検査の一致率は87.5%(7/8例)であった.G分染法(47,XY,+14)とNGS法(mos 48,XY,+13,+14/47,XY,+14)で検査結果が異なった例を1症例認めた.NGS法にて染色体異数性と判明した割合は70%(7/10例)であった.一方,染色体が正常核型であった症例は30%(3/10例)であった.STR分析を実施した4症例のうち2症例で,MCCが疑われた.NGS法による流産絨毛染色体異数性解析は,G分染法において検査実施が困難となる症例においてもNGS法で解析することが可能であることが示され,STR分析を加えることで,母体血液または母体組織の混入による偽陰性を除外することが可能であった.〔産婦の進歩75(1):26-31,2023(令和5年2月)〕</p>

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