薬用植物センキュウ(川芎)の学名(セリ科)

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タイトル別名
  • Transfer of <i>Cnidium officinale </i>to <i>Conioselinum</i> (<i>Umbelliferae</i>/<i>Apiaceae</i>)
  • Transfer of Cnidium officinale to Conioselinum (Umbelliferae/Apiaceae)

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抄録

<p>センキュウは中国からに日本に伝わったとされるセリ科の薬用植物で,日本や韓国で広く薬として用いられている.『第十八改正日本薬局方』にはCnidium Rhizome,CNIDII RHIZOMA,川芎として登載されている生薬で,「本品はセンキュウCnidium officinale Makino (Umbelliferae) の根茎を,通例,湯通ししたものである」と記載されている.植物学では学名はCnidium officinale MakinoあるいはLigusticum offininale (Makino) Kitag.が適用されている.センキュウは不稔で成熟果実が得られないため,果実の解剖学的特徴による属の決定が困難であった.不稔である理由として,染色体に対合しないペアが存在し,花粉形成では減数分裂が正常に進行しないことが報告されている.さらに部分的に対合が観察されることから,センキュウは近縁種間の雑種であると推定された(Hatano et al. 1970).Suk et al. (1974) はセンキュウと近縁属との未熟果実を解剖学的に比較して生薬川芎はミヤマセンキュウ属Conioselinum属であることを示したが,学名は扱わなかった.Pimenov et al. (2003) は果実解剖の結果に基づいてセンキュウと近縁のL. jeholense L. sinense とをミヤマセンキュウ属に移した.Kondo et al (1996)はcpDNAを用いた分子系統解析によってセンキュウはL. chuanxiong, L. jeholense L. sinense に近縁であることを示した.さらに最近の分子系統解析結果では,L. jeholenseL. sinenseはミヤマセンキュウ属のタイプC. tataricum Hoffm.を含むSinodielsia cladeに含まれ,Cnidium Ligusticum のタイプはSinodielsia cladeとは系統的に離れていることが明らかになった.したがって,本論文ではセンキュウをミヤマセンキュウ属に 移し,学名をConioselinum officinale (Makino) K.Ohashi & H.Ohashi と変更した.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 98 (1), 29-36, 2023-02-20

    植物研究雑誌編集委員会

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