小児肺移植の適応疾患と長期予後:多施設共同後ろ向き研究

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抄録

<p>背景:本邦の小児肺移植の現状を適応疾患と長期予後に注目し検討した。</p><p>方法:2001年3月~2017年10月に国内3移植施設で18歳以下に肺移植手術を施行した56例(生体44例、脳死12例)を対象に、適応疾患、悪性疾患の既往がある場合は最終治療から移植までの期間、overall survival(OS)、chronic lung allograft dysfunction(CLAD)- free survival、既往の悪性腫瘍再発の有無、術後最終評価時点でのperformance status(PS)と身長について検討した。身長は標準偏差スコア(身長SDS)を用いた。</p><p>結果:適応疾患は造血幹細胞移植(HSCT)後肺障害が22例、肺高血圧症が17例、間質性肺炎が8例、その他が9例であった。悪性腫瘍の既往は18例(固形腫瘍3例、血液腫瘍15例)で、全例HSCTをされていた。10年のOSは72.2%、CLAD-free survivalは65.1%。悪性疾患の最終治療から肺移植までの期間の中央値は4.5年(0.8年~11.3年)、既往の悪性疾患の再発は認めなかった。HSCT群では非HSCT群と比較しOSやCLAD-free survival、術後のPSに差がなかったが、身長SDSは非HSCT群で中央値-1.45(-5.23~1.15)、HSCT群で中央値-3.27(-11.2~-0.96)で、有意にHSCT群で低身長であった(p=0.0002)。</p><p>結論:小児肺移植の適応疾患はHSCT後肺障害が多く、予後と移植後のPSは良好で、既往の悪性疾患再発はなかった。肺移植後の小児症例は、日本人の標準からは低身長のことが多くHSCT後でその傾向が顕著であった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s178_1-s178_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295203824933376
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s178_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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