肺移植後免疫抑制薬による腎機能障害とその治療戦略

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抄録

<p>背景)肺移植は終末期呼吸不全の治療法として確立してきたが、肺移植後は生涯免疫抑制薬の内服が必要となる。免疫抑制薬であるCalcineurin阻害薬には多くの副作用があり、他の固形臓器移植に比べて肺移植後は血中濃度を高く維持するため副作用を発症することが多い。腎機能障害は高率に発症する副作用であり腎機能障害をコントロールすることが重要となる。目的)肺移植後Calcineurin阻害薬による腎機能障害の治療方法について検討する。結果)1)肺移植後急性期に肺水腫や移植肺機能不全を予防・治療するために行われる持続血液濾過透析では、除水により腎血流を減少させるため腎機能障害が生じるが、肺障害回復後に血管内液体量を調整し腎機能を回復させる。2)肺移植術後Calcineurin阻害薬は血中濃度調整のため短時間作用型tacrolimus製剤が使用されるが、腎機能障害時に長時間作用型tacrolimus製剤に変更することでtacrolimus血中濃度の安定化をはかり、腎機能障害を抑制する。3)Calcineurin阻害薬による腎機能障害時には一時的薬剤投与を中止し、免疫抑制効果を継続するために抗CD25モノクローナル抗体を投与しtacrolimus休薬による腎機能の回復を図る。4)必要なtacrolimusの目標血中濃度を下げるためにmTOR(mammalian target of Rapamycin)阻害薬を導入し、4剤による免疫抑制を行う。5)維持透析となった場合には腎移植を検討する。結語)肺移植後の腎機能障害は社会復帰を目指す肺移植後のQOLを低下させるため、腎機能障害をコントロールしQOLを維持できるよう管理する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s174_2-s174_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295203824939904
  • DOI
    10.11386/jst.57.supplement_s174_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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