非心臓移植実施施設からみた心臓移植内科医の重要性

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<p> 藤田医科大学病院は非心臓移植実施施設であるが、日常診療の中で心臓移植内科医の役割は大きいと感じる。その役割を具体的には、(1)心臓移植適応のある重症心不全患者を見逃さないこと、(2)近隣の地域で暮らす心臓移植患者を診療を通じて支えること、(3)他臓器の移植適応患者や移植待機患者を診ること、(4)脳死下臓器提供に貢献すること、(5)心臓移植の適応がない重症心不全患者に対するDestination Therapy(DT)の適応を検討し、適応があれば提案すること、などがあげられる。脳死下臓器提供が少ない我が国において、ステージDの末期重症心不全患者に心臓移植という治療選択肢を、自信を持って薦められる循環器内科医は多くない。しかし心不全患者の多くは循環器内科医が診療しており、これらの医師から積極的にコンサルトを受け、必要であれば心臓移植治療について患者及び患者家族に心臓移植治療の情報を提供することは移植内科医の使命と考える。心臓移植実施施設は全国に11施設(成人は10施設)しかなく、実施施設から遠方に居住している心臓移植者は多い。新型コロナ感染症の流行もあって県をまたぐ移動を伴う受診を恐れたり、経済的な理由で近隣の病院での診療を望む者もいる。しかし心臓移植者は除神経心であるため虚血性心疾患であっても胸痛はなく、拒絶反応を疑う所見も見つけにくい。免疫抑制剤の用量調整にも幾ばくかの経験が必要となる。</p><p> 心臓移植内科医は手術はできないが、心臓移植手術の前後を問わず心臓移植医療の中心的な存在であり、加えて他臓器の移植医療や脳死下臓器提供の場においても貢献し得る重要な役割を担っている。</p>

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