腎臓内科医の腎移植医療への参入が与えた影響について

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抄録

<p>腎移植は透析と比較して生命予後、生活の質が優れた腎代替療法である。当院では1978年泌尿器科において腎移植が開始され、現在年間10数例の腎移植手術を施行している。腎移植後長期生着が期待できるようになり慢性腎臓病管理や再発腎炎等、移植内科医の重要性が増加してきた。更なる腎移植医療推進のため、2019年から腎移植内科外来を設立し、保存期腎不全の治療、移植前評価、移植後の管理を内科で行い、周術期管理を泌尿器科にて行う体制を確立した。</p><p>当院にて生体腎移植手術を施行した連続60症例を、腎臓内科が腎移植へ参入後、移行期、参入前の20症例ずつに分けて比較すると、参入後は参入前と比較して院内紹介の割合が5%から35%に増加し、先行的腎移植の割合も15%から30%と増加した。このような変化が生じた理由を調べるため、関連病院の腎臓内科医に腎代替療法に関するアンケート調査を行った。腎臓内科が腎移植へ参入前と比較して、参入後では、腎移植を療法選択として提示する割合が増加し、療法選択を行うCKDステージが有意に早くなっていた。</p><p>腎臓内科医が腎移植に携わることで、保存期腎不全から腎移植後まで連続した管理を行えること、院内腎臓内科医にとって腎移植を腎代替療法の選択肢として提示する敷居が下がること、結果として先行的腎移植が増加していることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s303_1-s303_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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