生体肝移植における動門脈合併切除ジャンプ再建の応用-肝門部胆管癌合併PSC症例における肝十二指腸間膜全郭清後・血管間置再建肝移植―

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抄録

<p>【目的】繰り返す胆管炎症例等の肝移植において、レシピエント動脈解離や門脈血栓例は稀に見られ、脳死ドナーの少ない本邦では生体移植においても従来からレシピエント脈管を使用したジャンプ再建の工夫が報告されてきた。昨年我々は、肝門部胆管癌合併PSC症例において、根治化学療法後Conversion Surgeryとして肝十二指腸間膜全郭清・生体肝移植を施行した。欧米ではMayo Protocolによる移植が基本だが、生体移植時血管合併症の報告が多い肝門部放射線を敢えて避け、肝門部全郭清+動門脈合併切除グラフト再建の技術を使用したので、その郭清戦略と再建工夫を報告する。</p><p>【症例】31歳男性。PSCで肝移植目的に紹介されたが、ERCP等で局所肝門部胆管癌の合併を指摘され根治的化学療法(GCS)となった。6ヶ月後PSC肝障害は不変だが,PET,腹水細胞診等で癌のcontrol良好のため、倫理委員会等を通した後、生体肝移植となった。生体donorのためMayo Protocolの放射線療法を避け、肝十二指腸間膜全郭清(動門脈合併切除)+間置再建を施行した。</p><p>【結果】動脈はドナーRHAがreplaceだった事もあり長く採取し、レシピエントCHAに直接再建した。門脈は浅大腿静脈を採取しfreeグラフトとしてalignmentに心掛け再建した。血流良好で8ヶ月無再発生存中である。</p><p>【結語】肝門部胆管癌合併PSC例において、将来の移植が不確定な(生体donorも有り得る)場合、術前放射線を避け化学療法のみとし移植時動門脈合併切除再建とするこの新戦略は安全であった。今後再発率の検討は必要である</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s314_2-s314_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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