植込み型補助人工心臓入れ替え術後に偽性高クレアチニン血症を来した一例

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>症例は50歳代男性。Xー12年に心不全のためA病院入院。心筋生検にて拡張型心筋症と診断。その後入退院を繰り返し、心臓移植申請を目的にX-5年7月に名大病院紹介となった。心臓移植適応判定を得て、同年10月に植込み型補助人工心臓(HM-II)植え込み術施行。X年3月24日にドライブラインの断線疑いでHM-IIIへ入れ替え術施行。術後に尿路感染合併し4月2日より抗菌薬治療開始したところ、sCr(mg/dL)0.79-0.96から2.49へと悪化し、その後も改善しないため、4月4日腎臓内科紹介された。CTでは左胸水少量認め、IVC虚脱や水腎症を認めず、腎機能障害の原因は不明であった。ARB中止して経過観察したが4月8日sCr3.02と腎機能は改善せず,別の腎機能検査であるsCysC(mg/L)は0.91と著しい乖離を認めた。4月18日イヌリンクリアランス検査を行い実測GFR84.2(mL/分/1.73m2)、sCr.2.59,sCysC0.85、eGFRcreat21.3,eGFRcys88.8であり、偽性高Cr血症が疑われた。そこで酵素法(シグナスオートCRE)とHPLC法でsCrを比較したところ2.4と0.8であった。酵素法のR-Ⅱ試薬添加後に副波長の吸光度が上昇し続けており、血清に含めれる蛋白成分による混濁が疑われた。その後はsCrは希釈無し、2倍、4倍希釈で評価しており、各々3.23~4.69,0.76~1.14、0.76~0.96であった。心臓移植待機者において偽性高Cr血症を経験したため文献的考察を含め報告する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s335_3-s335_3, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ