肝臓灌流保存液としてのHTK液の応用

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<p>【背景】移植臓器灌流保存技術は世界で広まりを見せているが,肝臓灌流保存液は確立されていない。我々は,肝臓灌流保存液としてのHTK液の応用について,ブタを用いて検証したので報告する。【対象】30kgの雑種ブタを用いた。肝臓を摘出後,back tableで75%肝切除を行い,過小肝グラフトを作成した.肝臓灌流保存装置CMP-X04W(中央精工社製)による4時間の保存ののちに,ドナー血を希釈してisolated liver reperfusion systemによる2時間の再灌流を行い,評価した。機械灌流用のUW-gluconate液(Bridge to Life, USA)を用いた群(UW群N=5)とHTK液を用いた群(HTK群N=4)を比較した。【結果】ASTは灌流保存後に271.0 vs 507.5 (IU/L)とUW群で低値を示したが,再灌流後は234.0 vs 264.3 (IU/L)と差は認めなかった。灌流保存中のHTK群の門脈および肝動脈抵抗が低値で推移,再灌流後の門脈抵抗も0.05 vs 0.01 (mmHg/mL/min/100g)とHTK群で低値を示した。再灌流後の組織学的評価では,HTK群で肝細胞質の空胞化が軽度であり,虚血再灌流障害が少なかった。免疫組織染色も行い,HTK群で類洞内皮が保護される傾向にあった。【結論】我々は,肝臓灌流保存液としてHTK液の応用を検討した。低温灌流保存において,粘稠度が高いUW液に比較して,HTK液は安定した灌流保存を行うことができ,類洞内皮障害を軽減する可能性があることが示唆された。</p>

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