腎移植患者におけるタクロリムス血中濃度と体組成に関する検討
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説明
<p>腎移植において重要な薬剤の一つであるtacrolimusは,有効域の狭さから薬物血中濃度モニタリングが必須とされている.その血中濃度推移は,代謝酵素の遺伝子多型が影響を与えていることが知られているが,それだけでは説明がつかない場合がある.本研究ではtacrolimusの血中濃度推移を決める因子として,遺伝子多型以外の体脂肪量や筋肉量等の体組成が体内動態に影響するのではないかと考え,体組成パラメータとConcentration/Daily Dose (C/D) との相関性を検討した.</p><p>対象は2019年9月から2020年10月までの間に旭川医科大学病院にて生体腎移植が施行され,かつ体組成が測定された11名を対象とした.体組成パラメータは生体電気インピーダンス法を用いて測定した.得られた体組成パラメータとtacrolimusのC/Dとの間で,どのパラメータが相関性を示すかについて解析を行った.</p><p>その結果,体組成とC/Dの間には四肢骨格筋指数 (SMI) とC/Dとの間に負の相関関係が認められた.また,2018年 国民健康・栄養調査で報告されているSMIの平均値を基準として,平均値以上と平均値未満の2群に分けたところ平均値未満の群でC/Dが有意に高値であった.</p><p>以上より,tacrolimusの血中濃度はSMIにより負に影響を受けることから,SMIを測定することは,tacrolimus血中濃度推移の予測に有用である可能性が考えられた.</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 57 (Supplement), s366_1-s366_1, 2022
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390295203825247744
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可