生体肝移植ドナー長期経過後脂肪肝発生リスク因子の検討

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抄録

<p>【背景・目的】生体肝移植ドナーの長期経過後の検討は十分でない。当院の生体肝移植ドナーの長期経過後脂肪肝発症リスクを検討した。【方法】1997年9月-2019年2月に当院で実施した生体肝移植264例のドナーで, 術後1年以上 (平均5.6年) 経過後CTで評価可能な212例を対象とした。肝3ヶ所と脾のCT値から肝脾 (LS)比を算出、1.1≧を脂肪肝疑(FL)とした。【結果】移植後LS比1.1≧のFLは30例 (14.2%)であり, うちLS比0.9≧を16例 (53.3%)に認めた。単変量解析でFL群(n=30)はFL無し(n=182)と比較して、男性 (73.3%, p=0.024), 小児レシピエント(50.0%, p=0.017), 関係が父親 (36.7%, p=0.0009) が多く, 術前のBMI (24.6±3.8, p=0.0003), ALT (24.9±12.7 U/l, p=0.013)が有意に高値であった。またFL群は術後CT評価時のAST (30.9±14.6, p<0.0001), ALT (48.4±41.8, p<0.0001), GGT (84.9±166.6, p<0.0001), TG (163.4±132.5, p=0.0004), APRI (0.49±0.28, p=0.0009)が高値であったが, Fib4-indexは両群間で有意差を認めなかった。多変量解析では男性(p=0.037)、ドナー手術時のBMI>25(p=0.011)、小児へのドナー(p=0.0028)、術後CT評価時のALT(IU/L)≧42(p=0.00058) が移植後脂肪肝発症のリスク因子として抽出された。【結語】男性、小児レシピエントへのドナー、即ち父親は術後脂肪肝発症リスクが高い。栄養指導を含めた綿密なフォローが重要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s379_2-s379_2, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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