生体肝移植におけるドナー骨格筋の質とグラフト生存予測因子の関連性の検討

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<p>【背景・目的】 生体肝移植(LDLT)ではレシピエントの骨格筋の量的・質的低下はレシピエントの予後に影響することが報告されているが、ドナーの骨格筋の量的・質的影響については十分に検討されていない。今回、ドナー骨格筋のskeletal muscle mass index(SMI)とintramuscular adipose tissue content(IMAC)を測定しグラフト機能との関連性を検討した。</p><p>【対象・方法】 当科にて2007年1月から2018年5月までに生体肝移植術を施行した350組を対象とした。術前ドナーCT検査を用いて第3腰椎レベルでSMIとIMACを測定した。SMI/IMACのカットオフ値は男女別にROC曲線により制定し高値と低値の2群に分類した。SMI/IMACとグラフト機能としてレシピエントの術後14日目のT-bil値、PT-INR、腹水量と6ヶ月グラフト生存率との関係性を評価した。</p><p>【結果】 SMIはグラフト機能との関連性を示さず、IMACでは低値群で高値群に対しグラフト機能は不良であり(低値 vs 高値: T-bil; 6.2 mg/dL vs 4.5mg/dL, p=0.004, PT-INR; 1.2 vs 1.1, p=0.004, 腹水量; 425 mL vs 228 mL, p=0.0030)、 男女ともに低値群でグラフト生存率は不良であった(男性ドナー; 87.7% vs 95.9%, p=0.02, 女性ドナー; 83.0% vs99.0%, p<0.0001)。 多変量解析ではIMAC低値は6ヶ月グラフト生存における独立した予後予測因子であった(HR: 5.4, CI: 2.1-13.8, p=0.0004)。</p><p>【結語】 Donor骨格筋のIMACはLDLTにおけるグラフト生存予測因子となる可能性がある。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 57 (Supplement), s379_1-s379_1, 2022

    一般社団法人 日本移植学会

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