特発性門脈圧亢進症を合併した肝外門脈閉塞症に対して生体肝移植術と二期的脾摘術を施行した一例

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<p>【はじめに】肝外門脈閉塞症(EHPVO)はその血行動態から、肝前性門脈圧亢進症となり側副血行路の発達による合併症を併発する。一方で、特発性門脈圧亢進症(IPH)は、機序や治療ともに不明な部分が多く、進行例では肝不全症例も報告されている。今回、IPH合併EHPVOに対して生体肝移植術(LDLT)と二期的脾摘術を施行した一例について報告する。【症例】12歳、男児。自然分娩で出生後、成長・発達に異常を認めなかったが学校の検診で貧血を指摘され、タール便の精査で汎血球減少、脾腫、食道・胃静脈瘤とcavernous transformationを伴うEHPVOを指摘された。肝生検にてIPHと診断され、Rex shuntなどの血行変更を検討したが肝内門脈血流担保の不安・体循環shuntの増悪などを考慮し、父親をドナーとしてLDLTを施行した。門脈再建時にcavernous transformationを全て離断し、膵上縁まで確認できていた正常門脈と自己肝静脈を門脈に間置したグラフトを吻合し血流を再開した。術後経過は問題なく経過していたが、IPHによる脾腫の増大が認められ二期的に開腹脾摘術を施行した。脾摘後に門脈血栓症を併発したが、溶解療法により改善し現在外来経過観察中である。【考察】EHPVOに対するRex shuntは、門脈圧亢進症を軽減する上では重要な治療戦略であるが体循環shuntの意図的な増悪となるため根治的とはならない。一方で、IPHに対する脾摘は現在でも議論があるところで一定の見解は得られていない。IPH合併EHPVOでは、門脈圧亢進症が前面に出てきた場合にはLDLTを含めた治療戦略の検討が重要である。</p>

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