エドマ層研究に関する総説(その一) ─研究史の概略および気候変動との関わり─

  • 岩花 剛
    アラスカ大学フェアバンクス校・国際北極圏研究セ ンター

書誌事項

タイトル別名
  • A Review of Studies on YedomaSuite (Part 1) : Overview of the research history and connection to climate change
  • エドマ層研究に関する総説(その1)研究史の概略および気候変動との関わり
  • エドマソウ ケンキュウ ニ カンスル ソウセツ(ソノ 1)ケンキュウシ ノ ガイリャク オヨビ キコウ ヘンドウ ト ノ カカワリ

この論文をさがす

抄録

エドマ層は,その不思議な産状から謎の極北永久凍土層として研究が続けられてきた.18世紀初めの記録以来,その成因と形成環境について様々な説が提唱され,議論が続けられている.一方,永久凍土中,特にエドマ層には多くの有機炭素と氷が保持されている.近年の地球温暖化が永久凍土の融解を引き起こし,その変化がさらに大きな環境変化をもたらす可能性がある.これは,それまで閉じ込められていた膨大な量の物質や水が流動し始めることを意味するからである.本総説では,エドマ層研究の歴史を紹介し,気候変動との絡みで重要性の増す永久凍土研究についてエドマ層研究を柱にまとめ,今後の展望を示した.変化する永久凍土に対する目下の課題は,凍土中に貯蔵されている炭素と水の量に関する広域的なインベントリを行うことである.このインベントリは,永久凍土の融解が引き起こす植生変化,地盤沈下,水文・水質変化,気候変動など,永久凍土の融解に関わる環境変化を推定する際に必要不可欠となる.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 75 (5), 343-352, 2013

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (106)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ