女性における中高年向け運動教室の参加者と非参加者の医療費の比較

  • 寺内 祐美
    埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科
  • 林 裕栄
    埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
  • 関 美雪
    埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
  • 延原 弘章
    埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科
  • 柴田 亜希
    文京学院大学保健医療技術学部看護学科

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of medical care expenditure between participants and non-participants of exercise class for middle-aged and elderly women
  • ジョセイ ニ オケル チュウコウネン ムケ ウンドウ キョウシツ ノ サンカシャ ト ヒサンカシャ ノ イリョウヒ ノ ヒカク

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抄録

<p>目的 本研究では女性における中高年向け運動教室の参加者と非参加者の医療費について比較検証する。</p><p>方法 運動教室参加前1年間の年齢・医療費(本研究では医科入院外医療費・薬局調剤医療費を合計した医科入院外薬局調剤医療費と医科入院医療費とする)を参加群と対照群でマッチングし,参加群では2年間運動教室に参加した後,1年間の参加群と対照群の医療費を計4年間分析した。対象集団は首都圏A市にて2011年4月1日から2015年3月31日まで国民健康保険被保険者であり,2011年4月1日現在,60歳から69歳までの女性6,576人とした。筋力の向上に有効であることが示されているA市主催の中高年向けの運動教室(以下,運動教室とする)参加者のうち運動教室参加前1年間の医科入院医療費が0円の者かつ医科入院外薬局調剤医療費が50万円未満の者であり,2012年度,2013年度とも運動教室に参加している者を参加群416人とした(男性を除く)。対照群は参加群と性別・年齢・医療費を1対1でマッチングさせ416人とした。その上で4年間の1人当たりの医療費をもとに参加群と対照群の医療費をウィルコクソンの符号付順位検定を用いて比較検討した。比較方法としては,各群内の年度間の比較と各年度内の両群間の比較,参加群のうち運動教室に両年度とも15回以上参加した者と対照群を全年齢・65歳未満・65歳以上に分けた上での両群間の各年度内の比較を行った。なお有意水準は5%未満とした。</p><p>結果 1.医療費の年度間の比較では両群ともに2011年度に比べ2014年度に有意な増加がみられた。2.ベースライン調整後の各年度内の医療費では両群間に有意差はみられなかったが対照群に比べ参加群の医療費が低く推移していた。3.運動教室に両年度とも15回以上参加した者の医療費は65歳未満で2012年度と2013年度の参加群の医科入院外薬局調剤医療費が有意に低かった。一方65歳以上で参加群と対照群の医療費に有意差はみられなかった。また医科入院医療費は全年齢と65歳未満で2014年度の参加群が有意に低かった。</p><p>結論 運動教室の参加の有無に関わらず加齢とともに医療費は増加していくが,運動教室に継続的に参加することで医療費増加を抑制できる可能性が示唆された。また65歳未満では運動教室の継続的な参加が運動教室参加中やその後において医療費抑制の効果が期待できると示唆された。</p>

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