業績評価情報が実施計画に与える影響

DOI
  • 生方 裕一
    早稲田大学創造理工学部経営システム工学科

書誌事項

タイトル別名
  • -自治体職員向け質問紙実験から-

抄録

<p><tt> 本稿は,地方自治体が策定する計画を,</tt>PDCA<tt>(</tt>Plan-Do-Check-Action<tt>)サイクルにおける</tt>Plan <tt>機能として位置づける。そして,</tt>Check <tt>機能としての定性的評価が</tt>Action <tt>機能としての実施計画の改定に及ぼす影響を検証することが本稿の目的である。この検証は,茨城県常総市職員を対象にして行われた質問紙実験から得られたデータに基づくものである。この実験は,将来リスクに関する情報として資産老朽化情報,事業評価情報を代表する情報として業績評価実施情報が用いられ,それらの情報の有無が次年度予算要求額の変化,および事務事業の実施計画の修正意向に及ぼす影響を調べたものである。</tt></p><p><tt> 検証の結果,業績評価情報が実施計画,特に事業内容について,自治体職員の修正意向を高める可能性があることが示された。この点は,予算要求額のみならず,個々の事務事業の内容を再考,あるいは見直しをする際に,会計情報や業績評価などの行政評価が有用であることを示すものと考えられる。また,財政課に勤務したことがあるという経験が,実施計画の修正意向に影響を与える可能性も示された。このことから,業績評価を次年度予算編成時や実施計画の修正時等に活用する上で,予算要求を行う一般職員が予算査定ロジックを理解しているかどうかが何らかの影響を及ぼすことが示唆される。</tt></p><p><tt> なお,資産老朽化情報が,一般職員の実施計画修正意向に与える影響については認められなかった。しかし,資産老朽化情報には,非効率な事業に限定されるものの,将来予想を促すフィードフォワード情報として機能し,次年度予算要求額に対して抑制効果が働くことが期待される(生方・黒木 他</tt>, 2019<tt>)。そのため,実施計画の修正を促すという点で業績評価実施情報が有用という本稿の結果を合わせると,ストック情報と業績情報の両方を併用し,組み合わせることが自治体予算の</tt>MCS <tt>化にあたり有用であること が期待される。</tt></p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295447136180096
  • DOI
    10.51016/kaikeikensa.67.0_13
  • ISSN
    2436620X
    0915521X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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