熱帯・亜熱帯性海産珪藻<i>Skeletonena tropicum</i>の温帯域内湾 (洞海湾) における生存戦略

  • 山田 真知子
    公立大学法人福岡女子大学人間環境学部
  • 香月 絵理
    公立大学法人福岡女子大学人間環境学部
  • 大坪 繭子
    公立大学法人福岡女子大学人間環境学部
  • 濱田 健一郎
    公立大学法人北九州市立大学国際環境工学部 北海道大学大学院水産科学研究院・環境科学院
  • 上田 直子
    公立大学法人北九州市立大学国際環境工学部
  • 門谷 茂
    北海道大学大学院水産科学研究院・環境科学院

書誌事項

タイトル別名
  • Survival Strategy of Tropical and Subtropical Marine Diatom <i>Skeletonema tropicum</i> in Temperate Coastal Small Bay (Dokai Bay) , Japan
  • 熱帯・亜熱帯性海産珪藻Skeletonena tropicumの温帯域内湾(洞海湾)における生存戦略
  • ネッタイ アネッタイセイ カイサン ケイソウ Skeletonena tropicum ノ オンタイイキ ナイワン ドウカイワン ニ オケル セイゾン センリャク

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説明

<p>熱帯・亜熱帯性海産珪藻のSkeletonena tropicum栄養細胞についてモニタリング調査を16 年間(1991~2006年)にわたり温帯海域の洞海湾で行った結果, S. tropicumは7月から10 月の夏季から初秋を中心に出現し, 冬季から春季には出現しないという規則的な季節的消長を示した。生存に不適な低水温期には, S. tropicumは休眠期細胞となって海底堆積物中で越冬した。S.tropicumの休眠期細胞は夏季に2.9 mg g-1という高濃度の硫化物(AVS)に眼された後にも発芽が可能で, 有機汚濁に対して耐性が認められた。また発芽は, 高水温で, 光照射がある場合に可能であった。栄養細胞はNH4-Nが711 μMと他の植物プランクトンが増殖阻害を受けるような水質にもよく適応し, 濃密な赤潮を形成した。S. tropicumは上記のような生存戦略をとることにより, 温帯海域の富栄養化の進行した洞海湾に定着していると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 18 (2), 157-167, 2009-03-05

    日本海洋学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (45)*注記

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