芥川龍之介《素盞嗚尊》における素盞嗚表象 ―神から人間へ造形し直した試みについて―

書誌事項

タイトル別名
  • Representation of Susanoo in ‟Susanoonomikoto” Writed Ryunosuke Akutagawa: On the Attempt to Reshape from God to Man
  • アクタガワ リュウノスケ 《 ソサンオソン 》 ニ オケル ソサンオヒョウショウ : カミ カラ ニンゲン エ ゾウケイ シ ナオシタ ココロミ ニ ツイテ
  • Representation of Susanoo in ‟Susanoonomikoto” Writed Ryunosuke Akutagawa: On the Attempt to Reshape from God to Man

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抄録

要旨  芥川龍之介の小説、初出版「素盞嗚尊」と改訂版「老いたる素盞嗚尊」では『古事記』に大筋をとり『日本書紀』に具体的な名称を取って書かれている。しかしそれらの模倣を超えて大きな変化が加えられていることは見逃せない。それはスサノヲが神ではなく人間として描かれていることである。つまり神話ではなくなっているのである。それによって、『古事記』の展開にあったイザナキ、アマテラスに関連した追放、ヤマタノヲロチ退治、オホアナムチへ試練を与えオオクニヌシへと成長させる、大きな英雄の姿とは異なる姿が描かれた。本作は神々の存在を効果的に用いて、素盞嗚が渇望した「爐辺の幸福」を手放す、その「偉大」な瞬間を描こうとした作品であると考える。以上のように、従来のイメージに変化を与える新しい素盞嗚像が描かれたことに《素盞嗚尊》の特異性、及び意義があると考え、本論を進める。

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