誘引餌からの距離と視覚的遮断がポリエチレン製侵入防止柵に対するニホンジカ(<i>Cervus nippon</i>)の行動反応に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of distance from the feed and visual blockage to behavioral responses of sika deer (<i>Cervus nippon</i>) for polyethylene Intrusion prevention fence

抄録

<p>農作物や植栽木などをニホンジカ(Cervus nippon)による食害から守るため,その周囲には侵入防止ネットが張られている.本研究では,侵入防止ネットと被害作物を模した誘引餌との距離がネットに対するシカの行動反応に及ぼす影響を調べた.信州大学農学部で飼育している成雌ジカ5頭を供試した.ネットと誘引餌との距離を4処理(対照区,30 cm区,75 cm区,30 cm+ネット下部75 cm部分遮断:目隠し区)とし,それぞれ5日間,小型監視カメラで連続観察した.残飼量は飼槽の距離が離れるにつれ増加し,目隠し区が最も多かった(P<0.05).ネット前での滞在時間は75 cm区が他処理区と比較して有意に長かった(P<0.05).ネットの噛み,舐め回数,ネット格子に吻を入れた回数は,75 cm区が有意に多かった(P<0.05).以上のことから,ネット柵と餌資源との距離が短くても視覚的および物理的遮断がシカの摂食欲求行動を抑え,食害防止効果が高くなる可能性が示唆された.また,ネット柵から餌資源を離すだけではシカの摂食欲求を抑えることはできず,ネット柵の破損につながる可能性があることが明らかとなった.</p>

収録刊行物

  • 日本畜産学会報

    日本畜産学会報 94 (1), 69-74, 2023-02-25

    公益社団法人 日本畜産学会

参考文献 (1)*注記

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