明治期の日本における社会通念としての「美術」の受容過程

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書誌事項

タイトル別名
  • Acceptance Process of Fine Arts as a Social Recognition in Japan during the Meiji Era
  • ─ Based on a Quantitative Text Analysis of newspaper articles published in “Shinbun Shūsei Meiji Hennenshi”
  • ─『新聞集成明治編年史』に掲載された新聞記事に対する計量テキスト分析に基づいて

抄録

<p> 本研究は,明治時代における社会通念としての美術の形成過程を明らかにするために,計量テキスト分析を用い,新聞にみられる「美術」に関連した社会的出来事が,明治期の歴史的かつ社会的文脈でいかに当時の人びとに共有されたかについてそのプロセスを検証した。その結果,官製用語として誕生した「美術」に対する社会的認識の形成については,第一段階の明治10 年代までは実態,つまりものに重点を置き,第二段階の明治20~30年代においては価値観ないし価値体系を中心に,また第三段階の明治30 年代以降は概念,いわばジャンルを理解するといったプロセスで定着してきた。それは,エリート層を中心とする上流社会の人びとが概念からジャンルに,さらに価値観ないし価値体系という順序で「美術」を受け入れたのに対して,一般民衆はほぼ相反するプロセスに基づき美術を理解してきたといえる。また,明治政府が「美術」という概念を導入し,既存の絵画が「日本画」に統合されたことによって,日常生活における絵画の機能性・意味性は漸次に低下し,鑑賞対象となっていった。</p>

収録刊行物

  • デザイン学研究

    デザイン学研究 69 (4), 4_9-4_18, 2023-03-31

    一般社団法人 日本デザイン学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295590860531328
  • DOI
    10.11247/jssdj.69.4_9
  • ISSN
    21865221
    09108173
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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