Bibliographic Information
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- 有吉佐和子「紀ノ川」における性的差異
Abstract
有吉佐和子の長編「紀ノ川」には、その終末部分の原型というべき短編「死んだ家」がある。祖母-母-自分の関係を同じくモデルとしながら、父系の家の衰滅を描くに留まった「死んだ家」に対し、物語中の性的差異をいかし、父系の家は衰滅しても、女には女の絆で繋がれた家があることを描いたのが「紀ノ川」であろう。本稿では、女人高野と呼ばれた慈尊院の乳房形と紀ノ川沿いの嫁入りの言い伝えによって呼び込まれる生/死、自然/不自然という二項対立のイメージ、家紋ではない女紋の変更と継承で表明される女の意識/無意識、「真谷家の主」と呼ばれる白蛇で表象される姑-嫁関係、「死んだ家」と同じく終末部分で朗読される『増鏡』の法皇と東宮の関係の祖母と孫娘への置き換えなど、「紀ノ川」に頻出する性的差異のある事象に着目しつつ、有吉が描こうとした女の絆、女の家とはどのようなものかを考察した。
Journal
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- 仁愛大学研究紀要. 人間学部篇
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仁愛大学研究紀要. 人間学部篇 (13), 21-32, 2015-03-31
仁愛大学
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390295590860617600
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- ISSN
- 21853355
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- IRDB
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- Abstract License Flag
- Allowed