林地の状況から見た北山杉林業の現状

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タイトル別名
  • The present state of the Kitayama forestry landscape from the view of the situation of the forest stand

抄録

<p>京都市北区の中川地区を中心とした地域では,北山杉林業が古くから行われてきた。北山杉林業では,枝打ちを繰り返して小径の垂木丸太や中径の柱・桁用の磨丸太を生産する伝統的な施業が行われ,地域の文化に根差した特有の景観を創りだしてきた。近年このような林業景観や林業形態が評価を受けるようになり,2017年には日本森林学会によって林業遺産に認定されている。しかしその一方で,当該地域の主産業である林業形態の変化が進行しており,景観の維持の上でも大きな課題となっている。本研究では,北山杉林業の景観を構成する林分の特徴を明らかにすることを目的として,中川地区の13戸の林家に森林簿等の既存データを基に林地や管理に関する聞き取り調査を行った。その結果,歴史的に受け継がれてきた所有形態や林地の細分利用の特徴は現在も継続的に維持されているものの,聞き取りから新植はほとんど行われていないことがわかり,若齢杉林の面積は減少する傾向が明らかになった。一方で,伐採適期を過ぎた壮齢杉林は全体の2割を超えていることが確認された。原因は丸太需要の減少が影響していると考えられ,この傾向は今後も進むことが懸念された。すなわち,北山杉林業地では,その景観を特徴づけていた林地の細分利用が質的に変容しつつあることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295658299556480
  • DOI
    10.20660/applfor.31.2_1
  • ISSN
    21898294
    13429493
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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