ファンコニ貧血患児に行った乳歯抜去の1例

  • 菊池 和子
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 小瀬川 遼
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 熊谷 美保
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 久慈 昭慶
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野
  • 森川 和政
    岩手医科大学歯学部口腔保健育成学講座小児歯科学・障害者歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A case of deciduous tooth evulsion in Fanconi anemia child patient

この論文をさがす

抄録

<p>ファンコニ貧血(Fanconi Anemia: 以下FA)は,汎血球減少をきたす先天性骨髄不全症候群の一つである.歯科処置に際しては出血量の予測にもとづいて輸血の検討が必要となることがある.また,白血病や固形腫瘍の発症頻度が高く,ことに口腔内でこの傾向が強い.よって口腔内腫瘍の有無を定期的に精査することが重要である.加えて放射線への感受性が高いため,エックス線撮影を可能な限り避けることが必要である.さらに白血球減少によって免疫能の低下も考えられる.</p><p>今回我々は,FA 男児の乳歯抜去を経験した.年齢は7 歳,血小板数は64,000/μL であった.当該歯は後継永久歯の萌出にともなって,歯根が生理的に吸収していたため,抜去後の出血は少ないと考えられ,輸血の必要性は低いことを地域中核病院小児科医師と確認した.実際に出血は少なく, 5 分間のガーゼ圧迫で止血が得られた.また担当医師の指示のもと処置前後に抗菌薬を内服させることにより感染を予防することができた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ