尋常性乾癬患者に造影剤を使用後,全身に膿疱が多発し膿疱性乾癬との鑑別に苦慮した急性汎発性発疹性膿庖症の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • Acute Generalized Exanthematous Pustulosis Difficult to Distinguish from Pustular Psoriasis after the Use of Contrast Medium in a Patient with Psoriasis Vulgaris

この論文をさがす

説明

<p>37歳,男性。家族歴として父に尋常性乾癬がある。10年前から尋常性乾癬に罹患した。胸部痛,CK 高値のためイオヘキソールを使用して造影 CT を施行した。 6 日後,38度台の発熱,全身の皮膚の潮紅と鱗屑を付す紅斑を認め,その周囲に帽針頭大の膿疱が多発し,一部では癒合し膿海を形成したため入院となった。入院時の PASI score 54.1。好中球数 21,000/μlCRP 29.79 mg/dl。膿疱部の細菌培養は陰性であった。病理組織検査にて表皮は棍棒状に肥厚し,錯角化を伴う過角化,顆粒層の消失を認めた。一部の角層下に好中球の集簇を認めた。尋常性乾癬が先行した膿疱性乾癬と考えた。顔面にストロングクラス,全身にステロイド外用とエトレチナートカプセル 30 mg/日の内服の併用を開始した。皮疹は急速に改善し入院13日後,PASI score 22.4 となり退院となった。皮疹が急速に改善したことからイオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis : AGEP)としての可能性が示唆され,各種検査を追加した。イオヘキソールの薬剤誘発性リンパ球刺激試験(DLST)は陰性で,パッチテストは陽性であった。IL36RN 遺伝子の変異はなく,CARD14 遺伝子 exon 24 の変異もなかった。Euro SCAR study group による AGEP 検討スコア10点。膿疱性乾癬と AGEP のどちらも診断基準を満たす。本症例では急速な改善を認めたことやパッチテストが陽性であることから,AGEP と診断した。両疾患には共通点が多く,鑑別に苦慮した 1 例を経験した。 (皮膚の科学,21 : 288-2942022)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 21 (4), 288-294, 2022

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295658313895552
  • DOI
    10.11340/skinresearch.21.4_288
  • ISSN
    18839614
    13471813
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ