伊豆諸島における火山災害対策

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  • Counter measures to volcanic disasters in Izu-islands, Tokyo

抄録

<p>1.はじめに 火山噴火災害対策における重要な要素として以下が挙げられる:1)火山噴火に関する基本的な理解(火山学的知見,噴火履歴,災害要因と予測),2)火山活動状況の把握と評価,3)的確な火山情報発信,4)迅速な防災対応.また,効果的な火山災害対策のためには,関係者(自治体の防災担当者,防災関係機関,火山専門家など)の連携により事前に実効的な避難計画を策定するとともに,平常時から関係者で情報および認識の共有を図ることが重要である. 東京都火山防災協議会では,2016〜2020年,足かけ5年をかけて伊豆諸島6火山(伊豆大島,三宅島,新島,神津島,八丈島,青ヶ島)の火山避難計画を策定した.以下にその概要と最近の活動状況を報告する.2.火山避難計画策定の方針避難計画策定においては,具体的,実践的,防災対応のイメージが容易なものとすることを目標とした.そのため,想定される多様な火山活動を防災対応の観点でケース分けし,防災関係機関の役割・連携を明記し,なおかつ,できるだけコンパクトにし,いわば座右の作戦要領となるように工夫した.また以下の点に留意した:島ごとの自然・社会的条件の特性の考慮,避難対象者の類別,島外避難の判断要素の整理,緊急時の避難の検討に必要な詳細情報(避難方法,経路,所要時間など)及び防災対応において必要となる関連資料の整理収録,3.火山避難計画の構成と内容避難計画は本編,マニュアル編,附属資料で構成され,その概要を以下に列挙する.本編:基本情報(自然・社会条件,噴火履歴),想定される火山活動(噴火ケースと火山現象,噴火事象系統樹,災害要因とハザードマップ,噴火警戒レベル),平時の備え,避難計画の基本方針,噴火警戒レベルと避難対応の目安,立ち入り規制・警戒区域,避難情報,避難対応,防災関係機関の役割.マニュアル編(噴火警戒レベル別):防災関係機関の体制と対応,島外関係機関の対応(島外避難),詳細資料(島内/島外避難:方法・経路・所要時間など).附属資料:火山観測体制,防災関連施設,移送手段,関係機関連絡先,立入規制箇所,表示板設置予定箇所,広報文例,表示板・規制看板例,火山防災に関する情報,火山用語.4.伊豆諸島の火山観測体制と最近の活動状況 気象庁,防災科技研,国土地理院,東大地震研及び東京都が連続観測を実施し,必要に応じて観測データが共有されている.東京都庁で収集処理された観測結果は,伊豆諸島の役場でもネットワーク経由で参照可能になっている.最近の活動状況を以下に列挙する.伊豆大島:1986年噴火後,マグマの蓄積が進行中.三宅島:2000年噴火後,マグマの蓄積が進行中.新島・神津島:周辺で地震,地殻変動発生.八丈島:2002年に噴火未遂事件が発生.西山周辺でやや深い地震が散発的に発生.青ヶ島:島内及び周辺は静穏.中央火口周辺で地熱活動.5.火山防災の課題伊豆諸島6火山の火山防災のさらなる向上のための重要な課題として,以下が挙げられる.・火山避難計画の活用:学習,図上演習,避難訓練.・火山監視:火山活動状況の迅速な把握と評価体制の確立(気象庁,観測調査研究機関)・火山情報の高度化:防災に役立つ情報発信(気象庁)・防災関係者の連携:活動状況,評価,認識の共有.・実効的な中枢機能体制の確立:防災担当者,防災関係機関,専門家の協働態勢.・規制区域内での調査観測:噴火推移予測に必須だが,国内では困難なことが多い(例:2000年有珠山,西の島など).伊豆諸島6火山避難計画の参照先:東京都防災ホームページ/東京都の取り組み/火山対策/東京都の火山対策</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295669572551552
  • DOI
    10.14866/ajg.2023s.0_101
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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