味噌のフランス向け輸出拡大と製造業者の課題

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  • Expansion of miso exports to France and the challenges for manufacturers

抄録

<p>政府は農林水産物・食品の輸出を2025年に2兆円、2030年には5兆円とする目標を立て、輸出拡大に向けた取組の余地の大きい重点28品目を集中的な支援の対象としている。日本独特の伝統食品でありながら輸出が増加している味噌もそのひとつであり、品目団体として認定された全国味噌工業協同組合連合会が輸出促進業務にあたっている。飛躍的な拡大目標に向けて、味噌の輸出に関わる関係主体はそれぞれどのような役割を担い、連携してフードシステムを構成しうるのだろうか。商品を市場に新規に投入しても、消費者がその商品に有用性あるいは効用、すなわち使用価値を見出さなければ、結果的に無用なものとして市場からの撤退を余儀なくされる。使用価値は、消費者による商品の評価や意味付けと生産者による商品の物的属性の修正という相互作用が繰り返された結果、意味と属性が合致した場合に生成される。川端(2021)はこの相互作用を「摺り合わせ」と名付け、輸出のように商品が生産される市場と消費される市場が異なった国に属する場合には各国市場の背景にあるコンテキストの違いが「摺り合わせ」に大きく影響することを指摘している。本研究では、欧州の中でも近年味噌の輸出が堅調なフランスにおいて既に継続的な取引を確立している複数の生産者の事例を、川端(2021)の「国境を越えた使用価値の生成メカニズム」と照らし合わせ、味噌の輸出拡大に寄与しうるフードシステムの成り立ちと活動の現状をあきらかにすることを試みた。その結果、食品見本市をきっかけとして形成されるに至った輸出フードシステムでフランス側のパートナーである輸入兼卸売業者が重要な役割を果たしているが、輸出元の製造業者との情報共有が必ずしも十分とは言えず、「摺り合わせ」には課題があることがわかった。 </p><p></p><p>文献 </p><p>川端基夫 2021. 商品の使用価値と市場のローカルな規範感覚. 経済地理学年報 67: 223-234</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390295669572626688
  • DOI
    10.14866/ajg.2023s.0_261
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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