出血性脳卒中後の続発性正常圧水頭症における脳脊髄液の動態観察

  • 山田 茂樹
    滋賀医科大学 脳神経外科学講座 東京大学大学院情報学環 生産技術研究所 分散数値シミュレーション開発研究室 洛和会音羽病院 正常圧水頭症センター・脳神経外科 名古屋市立大学 脳神経外科
  • 伊藤 広貴
    富士フイルム株式会社 メディカルシステム開発センター
  • 石川 正恒
    洛和会音羽病院 正常圧水頭症センター・脳神経外科 洛和ヴィライリオス
  • 山口 真
    洛和会音羽病院 正常圧水頭症センター・脳神経外科
  • 山本 一夫
    洛和会音羽病院 正常圧水頭症センター・脳神経外科
  • 野崎 和彦
    滋賀医科大学 脳神経外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Cerebrospinal Fluid Dynamics in Secondary Normal Pressure Hydrocephalus Subsequently after Hemorrhagic Stroke

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抄録

<p>出血性脳卒中後の続発性正常圧水頭症(sNPH)の発症機序はいまだ不明であり,4D flow MRIを用いた脳脊髄液(CSF)の動態観察を行った.</p><p>対象は出血性脳卒中後にsNPHを併発した患者7人,sNPHを併発しなかった出血性脳卒中急性期患者8人,さらに同年代健常者9人とした.4D flow MRIと3D T2強調SPACEを撮像し,SYNAPSE VINCENTの4Dフローアプリを用いて,大孔部からMonro孔における一心拍中のCSFの反復移動量(SV)と逆流率,さらに中脳水道における振動剪断応力(OSS)と振動剪断指標(OSI)を算出し,3群間で比較した.</p><p>sNPH群は出血性脳卒中群や健常群と比較して,Magendie孔と中脳水道下端におけるSVと逆流率,中脳水道上端とMonro孔におけるSVが有意に大きかった.中脳水道背側におけるOSSの振幅と最大値は,出血性脳卒中群が健常群よりも有意に大きかった.</p><p>出血性脳卒中急性期の頭蓋内圧亢進によって脳のコンプライアンスが下がり,中脳水道を通過するCSFのSVが増加し,OSSの振幅が増大し,壁拡張をきたすと考えられた.</p><p>出血性脳卒中群は健常群よりも中脳水道におけるOSSの振幅,最大値が大きく,さらに出血性脳卒中群よりもsNPH群のほうが脳室内のSVが大きく,中脳水道背側のOSSの振幅,最大値は大きい傾向にあった.</p>

収録刊行物

  • 脳卒中の外科

    脳卒中の外科 51 (2), 99-106, 2023

    一般社団法人 日本脳卒中の外科学会

参考文献 (17)*注記

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