『伊勢物語』八十七段の原風景ー布引の滝と宮滝遊覧・競狩記との関連からー

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タイトル別名
  • Is Chapter 87 in the Tales of Ise based on Emperor Uda’s visit to Miyataki
  • 『 イセ モノガタリ 』 ハチジュウナナダン ノ ゲン フウケイ : ヌノビキ ノ タキ ト キュウダキ ユウラン ・ キョウシュキ ト ノ カンレン カラ

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抄録

『伊勢物語』八十七段における布引の滝の描写は精緻を極めるが故に、現場での取材が必要だったのではないかと考えられてきた。その可能性として、業平・行平等の逍遙が考えられるのはもちろんではあるが、それとともに宇多上皇による布引の滝遊覧にも注目する必要がある。しかしながら、その資料は極めて限られている。ただ、それに関連する資料として宮滝遊覧における道真の随行記録「菅家御記」があり、そこにのこされた宮滝描写の記録や、随行した者たちの動向などを分析する時、そこに八十七段を形成していく接点を見いだすことができる。本稿は、絵画を通して制作された虚構の物語という方向性をいったん排し、残された史料の断片から八十七段が構成されていったという可能性について考えるものである。なお、非現実的とされる逍遙 のあり方の論拠となる、假寧令の検討と京都・須磨間の所要時間についても言及した。

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